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YAMABIN | 山便 004 | 芽の巣山が、山の便りをはじめた理由。

YAMABIN|山便

人、植物、モノ、場所。
山を編集する日々の記録。

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YAMABIN 004

芽の巣山が、山の便りをはじめた理由。

2026.09.4

YAMABIN|山便をはじめました。

と言っても、まだ数話。

何か大きな目的があって始めたわけでも、最初から明確な完成形が見えているわけでもありません。むしろ半信半疑ではじめました。

ただ、少し前から、

もう少し長い話ができる場所が欲しい。

と思うようになっていました。

Instagramではなかなか話さないこと。

店頭では話しているけれど、WEBでは伝えられていなかったこと。

植物のこと。
鉢のこと。
作っている人のこと。
店のこと。
山のこと。

そして、自分が今考えていること。

そういうものを、もう少し生々しく、あまり化粧せずに残してみたい。

それが、山便をはじめた理由です。

01|広げるより、深く。

芽の巣山は、これまでほとんどInstagram一本で発信してきました。

今は本当にいろいろな方法があります。

noteでもいいし、YouTubeでもいい。

もっと拡散力のあるSNSを始めることの方が良いかもとか。

お店をたくさんの人に知ってもらうことだけを考えれば、その方がいいのかもしれません。

でも今回やりたかったのは、少し逆でした。

もっと広く知ってもらうことより、今知ってくれている人に、もう少し深く知ってもらうこと。

店頭へ来てくれている人。

WEB STOREを見てくれている人。

植物や鉢を買ってくれた人。

イベントへ来てくれた人。

どこかで芽の巣山を知って、今も気にしてくれている人。

そんな人たちと、もう少し芽の巣山のことを知ってくれて、芽の巣山を今より少し楽しめる場所がつくれたらいいなと思いました。

だから、わざわざ新しい場所をつくるのではなく、

芽の巣山のWEBの中につくる。

誰でも入れる。

でも、わざわざここまで来て、長い文章を読む人だけが入ってくる。

オープンであり、クローズな世界。

そんな場所があってもいいのかなと思いました。

02|ショートじゃないこと。

Instagramが嫌になったわけじゃありません。

むしろ芽の巣山にとって、なくてはならない場所。

写真を見てもらう。

新しい植物を紹介する。

イベントを知らせる。

新しく入った鉢を見てもらう。

そういうことには、とても向いているし、むしろ何か広告を使ってるわけでもなければ、Instagramだけで、よくやらせてもらっている。。様々です。

ただ、自分が店頭で話していることは、それだけではありません。

植物の育て方ひとつをとっても、検索すればたくさんの答えが出てくる時代です。

でも、人によって置いている環境も違えば、その植物の状態も違う。

水やりひとつだって、必ず一つの答えがあるわけではありません。

だから店頭では、

植物を良く見てほしい。

購入したらできるだけ、毎日見てほしい。

昨日と今日の違いを見てほしい。

育てながら、その植物のことを知ってほしい。

そんな話をします。

商品ページなら、植物の名前やサイズ、育て方を書くことはできます。

ざっくりと。

でも、

どう植物と付き合ってほしいのか。

なぜこの植物を選んだのか。

この植物の先に、どんな景色を想像しているのか。

そういう話になると、どうしても長くなります。

だから山便では、

ショートじゃないことをやりたい。

写真と文章で、少しまどろっこしいくらいに。

店頭では話していたけれど、オンラインでは話してこなかったことを残してみたいと思っています。

03|あまり、化粧しない。

そして、もう一つ。

山便では、あまり綺麗にまとめすぎたくないと思っています。

とはいえめちゃくちゃ何回も見返して直してますが。

もちろん文章として読めるようにはしたい。

でも、全部を格好いい言葉にして、芽の巣山の思想として完成させたいわけではありません。

今考えていること。

まだ迷っていること。

やってみたけど、分からなかったこと。

途中で考えが変わったこと。

そういうものも含めて、

もう少し生々しく、化粧されていない状態で残してみたい。

と思っています。

何年か経って、

「この頃こんなこと言ってたんだ」

となっても、それでいい。

むしろ、その方が面白い。

植物も変わる。

店も変わる。

自分も変わる。

だったら、その時々で考えていたことを、そのまま残しておけばいい。

山便は、答えを書く場所というより、

その時の芽の巣山をことを残しておく便り。

なのかもしれません。

04|山の記録。

山便を始めて、まだ本当に少ししか経っていません。

でも今のところ、これを書くこと自体が自分の一つの楽しみになっています。

なんで楽しいんだろう。

自分なりに考えてみると、

喋っていたことが、言葉になっていくのが面白い。

というのが大きい気がします。

今までなんとなく考えていたことを書く。

それが文章になる。

文章になったものを、自分でもう一度読む。

すると、

「あ、自分はこういうことを考えていたんだ」

と改めて気づく。

それによって、今度は店頭でお客さんに話す言葉まで少し変わってくる。

植物を見る視点が変わる。

写真を撮るときの視点も変わるかもしれないし。

自分がやってきたことや、今やっていることを、もう一度自分の言葉に戻ってくる。

少し大袈裟かもしれませんが、

自分にとっては、ちょっとしたリハビリに近い感覚もありまして。

だから、ぶっちゃけてしまえば、

自分自身のためにやっているところが、一番大きいのかもしれません。

いいねもない。

コメントもない。

誰がどれだけ読んでいるのかも、分からない。

最初は、

「これ、誰か読んでるくれるなかな」

という半信半疑なところもありました。

今も。

でも不思議と、それでも別にいいような気がしてます。

自分が面白い。

まず、いったんそれでいい。

その少し生々しいところや、格好つけていないところまで含めて、面白がってくれる人がいたら嬉しい。

そんな山の便りを少しずつつくれたらと思っています。

05|とはいえ、より良くしないといけない。

ただ、

「自分が楽しいから、それだけでいい」

と言い切ってしまうのも、少し違います。

芽の巣山は店です。

植物をつくっている人がいる。

鉢をつくっている人がいる。

ものづくりをしている人がいる。

一緒に企画を考えてくれる人がいる。

芽の巣山に関わってくれている人たちがいます。

そういう人たちと、この先も仕事を続けたい。

もっと面白いことをやりたい。

もっといい関係をつくっていきたい。

そのためには、芽の巣山自身もちゃんと結果を出していかなければ続きません。

だから山便を読んで、

商品を見てもらえたら嬉しい。

店へ来てもらえたら嬉しい。

イベントへ来てもらえたら嬉しい。

そして、もちろん。

買ってもらえたら、めちゃめちゃ嬉しいです。

そこは店なので、正直に。

ただ、売るためだけに文章を書くというより、

芽の巣山がなぜこれを選んだのか。

なぜこの人とものをつくっているのか。

その先に何を見ているのか。

そこを知った上でもう一度、植物や鉢や山の道具を見てもらう。

その結果として商売にもつながっていったら、一番いい。

建前と本音を、無理に別々にする必要もないと思っています。

続けるためにも、より良くし、結果は出したい。

これも山便を始めた理由の一つです。

06|この一年のこと。

そして、なぜ今だったのか。

振り返ると、この一年は本当に店にいました。

よく来店してくれてる方ならわかるかと。

妻と二人で店を動かしながら、ほとんど休まず仕事をしてきました。

ハウス仕事して。

山の自宅から高円寺への行き来。

店頭に立ったり。

植物を仕入れたり。

植え込んだり。

写真を撮ったり。

WEB STOREへ出したり。

梱包したり。

イベントをやったり。

作家さんと次の企画や作品を考えたり。

また植物を仕入れたり。

それを繰り返してきました。

そして、一年かけて、
体制や店のことを変えて、

一度、やり切った。

という感覚に少し近い。

だから次へ行く前に、

今までやってきたことを、一度ちゃんと残してみたいと思うようになったのかもしれません。

この一年だけではありません。

植物に関わり始めてから積み重ねてきた時間。

ものづくりをしている人たちと出会ってきた時間。

店をつくってきた時間。

もちろん、それを「全て分かりました」と語れるほど、自分はまだ植物のことを知りません。

ものづくりについても、まだまだ知らないことばかりです。

だからこそ、

今の時点で見えているものを、今の言葉で残しておく。

そんなことをやってみたくなりました。

07|100便の先。

年内に、山便を100本つくれたら面白いなと思っています。

100便つくったら何が起きるのか。

正直、分かりません。

そもそも、できるのか?という部分もあります。

ただ続けることで、

WEB STOREを見る人が増えるかもしれない。

店へ来てくれる人が増えるかもしれない。

イベントへ来てくれる人が増えるかもしれない。

何かしら商売にもつながっていくと思っています。

でも、それ以上に楽しみにしているのは、

今、自分では想像できていないことが起きること。

100便目指して書いていくうちに、接客するときの言葉が変わるかもしれない。

植物を見る解像度が変わるかもしれない。

写真を撮るとき、今まで気づかなかったところに目が行くようになるかもしれない。

芽の巣山そのものが、少しずつ変わるかもしれない。

それは山便そのものの成果というより、続けたことで生まれる副産物なのかもとか。

だから今は、100本の先に何があるのかを決めすぎなくていいと思っています。

分からないから、やってみたい。

08|山から届く、便り。

そもそも、なぜ「山便」という名前なのか。

これは、実家のことが結構関係しています。

僕の実家は、きのこ料理屋です。

父親が秋になると山へ入って、きのこを採ってくる。

すると母親から頻繁に、

「こんなの採れたよ」

と、その日のきのこの写真が送られてきます。

きのこ料理屋の次男坊ということもあり、

秋時期にはうずいてしょうがないわけですが、山にはいりたくて。

そこに、山に入った父親がその日に採ってきたものが、写真になって送られてくる。

僕にとっては、それがまさに、

山から届く、便り。

みたいなものなんです。

実家の天然きのこ料理店の名前は「やまと」。

そしてMENOSは、もともと僕がやっていた美容室の名前です。

スペイン語の menos。

マイナス、引いていく、引き算をする。

そんなところからMENOSと名付けました。

植物屋を始めるときに、その'MENOS'を'芽の巣'と当て字にして、そこに実家の「やまと」から「山」ん拝借。

それが今の芽の巣山につながっています。

美味しいのですよ。天然きのこ20種以上が入った
きのこ鍋。

きのこはアミノサンの塊、つまり旨味成分の塊。
スープで羽生えます。

(宣伝)

山のあとがき

芽の巣山は「山」という名前がついていますが、今は東京・高円寺にあります。

現在ハウスと自宅は都内から近い山にあり、いつか山にハウスショップをつくりたい。

そんなことも考えています。

もし何年か先、本当に山に芽の巣山ができたとしたら。

その時、2026年の山便を読み返したら、

「あの頃、こんなことを考えていたんだ」

と思うのかもしれません。

そう考えると、山便は完成した芽の巣山について書くものではなく、

芽の巣山が、何かになっていく途中のログ

なのかもとか。

植物のことも。

店のことも。

自分自身のことも。

まだ途中です。

だから今は、分かったことだけではなく、分からないことも含めて残してみる。

いいねもなくていい。

コメントもなくていい。

たくさんの人に届かなくてもいい。

でも、どこかで誰かが読んでくれている。

そして次に芽の巣山へ来たとき、植物、鉢、山の道具とかが、少し見え方が変わっていたら嬉しい。

そんなことを考えながら、

これから山便を続けてみます。

さて、100便の先に何があるのか。

100便書けるのか?

自分自身でも楽しみです。

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PROFILE

石井和昭|Kazuaki Ishii

芽の巣山 店主。

美容師として人の手から造形される髪型に長く向き合ったのち、植物の世界へ。

多肉植物、サボテン、珍奇植物をはじめ、鉢、陶芸、工芸、土、石など、人のつくるものと自然のつくるもの、その交じりあった景色に惹かれる。

著書に『THE POT』。

東京・高円寺「芽の巣山」を拠点に、植物のセレクトや植え込み、作家との別注制作、「山の道具」の企画・制作を行う。

植物を売ることだけではなく、その植物が置かれる景色、その背景にある人やモノまで含めて伝えること。

「山を、編集する。」

をテーマに、植物と人の間にある景色をつくっている。

MENOSYAMA
Tokyo / Koenji